肺は肺胞や細気管支などから成り立っていて、正常時に肺胞で酸素と二酸化炭素のガス交換を行っています。肺水腫とは、肺肺や細気管支の中に血液成分が溜まり、ガス交換がうまく出来なくなった状態をいいます。
初期の症状として、運動時や興奮時に軽い咳が出るとか咳かどうか分からない程度の咳がでます。症状が重くなってくると、咳の頻度は多くなり、息が荒く、ゼーゼーとした息になり、早く浅い呼吸になります。呼吸困難の為、よだれを流し、口を開けて苦しそうにしたり、歩き回ったり、また起きていた方が楽なようで頸や背筋を伸ばした姿勢をとることが多くなります。さらに重度になると、泡沫状の鼻水や青紫色の舌(チアノーゼ)が見られます。
肺水腫の原因には、心臓に起因する心臓性肺水腫と心臓に起因しない非心臓性肺水腫の二つに分類されます。マルチーズ、ポメラニアン、ヨークシャー・テリア、シーズー、キャバリアなどの小型犬でよく発症する僧帽弁閉鎖不全症などにより血液成分が肺胞に漏出する心臓性肺水腫が多く見られます。一方、肺炎、熱射病、低たんぱく血症(肝硬変、ネフローゼ症候群など)や有毒ガスの吸入などにより非心臓性肺水腫が生じます。
肺水腫への対処法は@獣医師による心臓性肺水腫か非心臓性肺水腫かの診断、A基礎疾患に対する治療、B利尿剤、血管拡張剤や強心剤の投与(肺の血液成分の除去)、C酸素吸入などがあります。